コラム

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BCPと製造業DX#2

前回のBCPコラムでお伝えした「工場が止まったときに、どう事業を止めないか」という考え方は、実は製造業DXの本質ともつながっています。

DXというと「便利にする」「速くする」「人を減らす」といった生産性の話に寄りがちですが、私たちが目指しているのはそれだけではありません。変化や危機に耐えられる“事業継続の土台”を、平時の業務の中で少しずつつくることです。

まず、製造業では「工場の人がテレワークできない」という現実があります。材料を切る、曲げる、削る、溶接する、組み立てる。ものづくりには物理的な現場が必要です。

だからこそ重要なのは、「全員をテレワークさせる」ことではなく、「遠隔でも維持できる会社機能を意図的に分散させる」という発想です。

工場という物理拠点が失われたとき、すべての機能まで一緒に失われる構造を避ける。その手段の一つがテレワークです。ただ、テレワーク制度だけではBCPになりません。遠隔で仕事を成立させるデジタルインフラが必要です。

クレスコでは、サーバーのクラウド化により場所に依存せず基幹システムへアクセスできる環境を整えています。また、社内コミュニケーションは日常からチャットツールを活用し、緊急時の安否確認ツールも全社員に配布しています。

ここで大切なのは、これらを「災害専用の仕組み」にしないことです。普段からクラウドにアクセスし、普段からチャットで情報共有し、普段からテレワーク運用を回しておく。そうでないと非常時に「使い方が分からない」 「誰が発信するのか決まっていない」「パスワードや経路が開けない」という問題が起きます。災害時は混乱が前提だからこそ、平時の運用が効いてきます。

もちろん、DXが進めばすべてが解決するわけではありません。

火災や地震で安全に避難できなければ意味がありません。設備から離れる判断や避難経路の確認は、クラウドでは代替できません。

そのため、リアルのBCPとして年1回の災害訓練を行っています。さらに、デジタルのBCPとしては、クラウド、チャット、安否確認、テレワークを“平時から”使い続ける。私は、この二つを組み合わせることが最も強い形だと考えています。

また、DXの効果は「何分短縮できたか」だけでは測れません。クラウド化された基幹システムやチャットは、平時には効率化のインフラです。しかし非常時には、そのまま事業継続のインフラになります。平時の生産性と非常時のレジリエンスを、一つの投資で両立させることができるのです。

BCPは災害が起きてから始めるものではありません。日常業務の延長線上で備えを磨く。これを実現するために、製造業DXは「便利さ」だけでなく「会社を強くする仕組み」として進めていくべきだと思います。

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